事例です。
その会社には、長年の付き合いのある顧問の税理士の先生がいました。
オーナーがついに亡くなりまして、
自然な流れでその顧問の先生に相続税の申告を任せました。
その先生はかなり攻める税理士のようで、
会社の会計上の純資産の金額は20億円ほどあったのですが、
会社の底地の評価を工夫して株の評価をなんとゼロとして申告しました。
(当然調査も来ましたが、合理的な評価ということで是認されています)
残りは金融資産のみ相続財産ということで、相続人3名で法定相続分通りに、
すべての資産を分割し相続税を納税しました。
相続が過ぎて二代目は番頭を頼りながら無難な経営を行い、会社の業績はその後、
人件費の上昇をうまく商品に転嫁できたこともあり、増収増益で推移していました。
もはや株の評価はゼロとは言えません。そんな折、妹が相続で引きついた株式を買い取って
もらいたいと考えている、という話が番頭の耳に入ってきました。どうしましょう。
やはり、会社の自社株は共有にせずに、経営者に集中させるべきという
良い事例かと思います。いかに税金を安くするかということだけに
神経を使っている税理士の先生も多くいます。
税理士試験では遺産分割や遺言などをやりませんので、顧問の先生は立派な仕事ぶりです。
しかし、ゼロ評価とすることで、分割が
やりにくくなるのであれば、便宜上額面金額や収益還元価値などを用いて、分割上の
時価を定めて二代目にある程度集約できるように話合いをうまくつけないといけないと
思います。本当は生前にある程度遺言なり種類株式なり経営権の対策を
すべきなのでしょうが。
もし、この好業績が続いていけば、さらに買取価格は高くなりますが、いま買い取るにも
かなりのキャッシュが必要になりますし、もう一人の妹を刺激するかもしれません。
頭の痛い問題を引きずりながら、前にも後ろにも骨がつかえているような状況に
なってしまいました。つづく。
(写真はハノイのホアンキエム湖)
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170410shoukei.htm
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