1.概要
基本的なところですが、法人が他の内国法人の株式を所有していて、
その配当を受け取った場合には、会計上は利益になりますが、
税務上は益金不算入=課税しませんよ、という規定です。
予備校でも一番に習うようなところですが、意外とミスりやすいです。
2.目的
法人が配当をする場合には、その配当については、その配当をする
法人において法人税が課税されている。
配当を受ける法人においても法人税を課してしまうと二重課税に
なってしまうので、調整をしようという規定である。
3.益金不算入額
1)完全子法人株式等・・・その全額
2)関連法人株式等(1/3超100%未満)・・・その全額から控除負債利子を控除
3)その他の株式等(5%超1/3以下)・・・50%益金不算入
4)非支配目的株式等(5%以下)・・・20%益金不算入
5)証券投資信託(特定株式投資信託を除く)・・・全額益金算入
4.留意点
間違えやすいのが、完全子法人株式等の定義である。配当等の額の計算期間を通じて内国法人との間に完全支配関係があった他の内国法人の株式又は出資をいう、ということで直前にM&Aなどで取得しても適用できないということ。それから、この完全支配関係というのは直接の関係でなくてもよいので、一つ法人をかまして間接による保有を含めて100%になっている場合もあてはまる、ということである。グループ法人税制の中のひとつと整理するとよい。
あとは、短期保有株式等に係る配当は適用除外というのも忘れやすい。基準日以前1月前に取得し、
その後2月以内に譲渡した場合には、この規定が適用できない。
例えば、A法人は平成29年12月20日に株式会社オプトラン(6236)を
2,200円で10,000株購入した。平成30年1月19日に3,300円で1,000株売却した。
このとき、
配当金は平成29年12月31日を基準日として1株40円なので、
受取配当金 40円×10,000株=400,000円が収益となる。
そのうち、
400,000円×1,000株/10,000株=40,000円は受取配当益金不算入の対象から外れる。
よって、360,000円×20%=72,000円だけ益金不算入。
400,000円ー72,000円=328,000円が課税される(永久差異)。
なお、有価証券売却損益
1,000株×(3,300円ー2,200円)=1,100,000円
は会計上も税務上も収益(所得)となる。
ココ。
0コメント