青色申告の中小法人等を前提に考えます。
欠損金が出てしまった場合に、中小法人等の場合には10年間
(平成30年4月1日以後の開始事業年度)の繰越控除の他に、
繰戻し還付の適用を受けることもできます。
この場合に、資金繰りなどを考えてすぐさま還付を受けたほうがよい、
と判断するのは早計です。
例えば、X1年 所得1,500万円
X2年 欠損金▲600万円
X3年 所得1,500万円
とします。中小法人の場合、
法人税率、年800万円以下の部分は15%、800万円超の部分は23.2%です。
ですので、所得1,500万円に対する法人税は
800万円×15%=1,200,000円
700万円×23.2%=1,624,000円 合計2,842,000円
となります。
繰戻し還付を受けますと、
2,824,000円×600万/1,500万=1,129,600円が還付されますので、X1年は
2,824,000円-1,129,600円=1,694,400円の税負担です。
一方、繰越控除を受けますと、
1,500万円-600万円=900万円が課税標準となりますので、
800万円×15%=1,200,000円
100万円×23.2%=232,000円 合計1,432,000円の税負担です。
あまり所得が多くなく単一税率であれば、結果は同じなのですが、
複数税率のゾーンに突入している場合には、差異が生じてきますので、
次年度以降の利益予測などをよく考えないといけないことになります。
個人の純損失の繰越についても同様の論点があります。
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